あばばばスーパーアリーナからのお知らせ

あばばばスーパーアリーナからのお知らせ欄です

今日の昼は醤油ラーメン

《前回までのあらすじ》

人類の敵“シャドウゴースト„を打ち滅ぼすべく極東の地のさらに極北から旅を続けてきたあばばばとその愉快な仲間たち。
 
最初は奴の圧倒的な力の前にただ倒れるしかなかったパーティーだったが、旅を続ける中で力を積み重ねらと共に互いを心から理解し、その友情を深め合った。
 
ある時、毒の湧き出る洞窟を探索していた際に偶然出会った老人から大いなる力を持つ聖杯を授かる。
 
この聖杯にりんごジュース(青森県産100%)を入れて飲むことでその右手に闇をも打ち砕く能力、トワイライト・フォースを手に入れられるという。
 
パーティー一同はこの思いがけない収穫に喜び、一刻も早く世界の平和を実現しなければと奮い立った。
 
 
 
 
問題はーーーーー
 
『誰』が飲むか、だ。
 
 
 
これを境にそれまでワイワイ仲良くやってきたパーティーの絆は決壊、《力》を求めてパーティー内で真の勝者を決めるために争い合うこととなってしまう。
 
もちろんこのときに行われた闘いが椅子取りゲームであることは皆も知っての通り。
 
 
局面は最終決戦。
 
ただひとつの椅子をかけて残ったのはあばばば、モーリー・モチモチ、そしてDr.清水の3人。
 
 
最後のゲームが幕を開ける。
 
それぞれの歩みは円を描きながら進んでいく。
 
3人の間に漂う重苦しい緊張感とは裏腹に、そこに刻まれるのは自由の象徴ユーロビート
 
 
勝負は、一瞬。
 
 
反応が遅れたら、それを意識する前に決着はついているに違いない。
 
敵は“そういう„奴らだ。
 
全ての雑念を排除し、極限の境地と現実の狭間で合図を待つ。
 
 
 
刹那、音楽が止まる。
 
静寂と共に中央の玉座に向かって駆け出す3人。
 
 
相手の動向はおそらく目に入っていないだろう
 
互いに考えていることはひとつ。
 
 
「誰よりも先にあの場所に座(つ)く」
 
 
反応はほぼ同時、しかしその位置は違う。
 
今回用いた椅子は背も学校でよく使われているああいう椅子。
 
突然、背もたれ側にいる者はそれを迂回して着席する必要があるのだ。
 
 
これが時の運というものなのか、音楽がやんだときモーリーDr.清水両名は背もたれ側、一方あばばばは椅子のド正面にいたのである。
 
 
あばばばが椅子に向かう勢いを使って身体を捻り、座る体制をとる。
 
 
(……獲ったッ!)
 
 
まばたきをする暇を与えないほど僅かな時間のうちに、何もせずとも、重力に身を任せたとしても、完全に“座りきれる„状態になった瞬間、価値を確信してこう思った。
 
そう、思ってしまったのだ。
 
 
この油断が命取りとなる。
 
 
椅子まで僅か数センチというところであばばばの右頬にボール大のものが当たる感覚があった。
 
それに続いて鈍い痛みがやってくる。
 
 
この衝撃によって吹っ飛ばされたあばばばは気づくと今頃いるはずだった場所から3mは離れたところに倒れていた。
 
 
状況を確認する。
 
椅子を挟んだ向こうにいたのは若い挑戦者に対して大外からのフックを浴びせた不動のチャンピオンボクサーのような格好をしたモーリー。
 
 
「まさかお前…オレを殴った……のか…?」
 
 
頬にはジンジンとした痛みが響く。
 
口の中が切れたのだろうか、血の味を感じる。
 
 
ふと、口内に異物を感じて手のひらに吐き出してみる。
 
 
まじまじとみて確かめなくてもわかる、この大きさ、色、そして硬さ。
 
これはーーーー。
 
 
 
 
親知らずを抜いたって話でしたね。
 
あばばばの親知らずは上の歯は両方、下は左側だけ生えているんですけど、昨日は右上のやつを抜いてきました。
 
流石に一度に抜くのはヤバいらしいので3回に分けて抜くらしい。
 
 
歯を抜いてもらうのは初めての体験だったのでフツーに緊張でしたね。
 
器具をみたら恐怖で死ぬと思ったので虚な眼で天井を見上げてました。
 
 
麻酔をキメ、「じゃあ歯をずらしていくよ〜」といわれペンチ(たぶん)で歯を左右に動かされます。
 
顎の奥から伝わるミシミシという音がより一層恐怖心を煽ります。
 
 
……くる!!
 
 
そう身構えた瞬間、
 
 
 
 
「はい終わりです」
 
 
 
 
え?
 
 
5秒くらいで抜けてました。
 
 
 
 
 
 
 
 
で、今日はその抜いたところの消毒です。
こっちは5分しないくらいで終わりました。
 
診察料160円、いくら消毒だけと言えど安すぎるだろオイ。
 
 
心配されていた痛みも特になく、驚くくらい平和です。
 
 
 
 
 
 
 
残るは2本……あばばばの運命やいかに!!
 
 
 
 
つづく