むかしむかしあるところに3つの矢のマークでお馴染みのソーダが大好きなキッズが住んでおったそうな
そのころはしばしばジュースにちょっとしたオマケがついていた時代でな
…今もそういうのがあるのか?
そうか……
そ、その頃はな、ココココココカコーラにはハンバーガー無料券がついてきたり、
なっっっっちゃんというジュースにかわいいキーホルダーがついてきたらしたんじゃ
今は綾鷹にペットボトルカバーがついてくるのか…
リラックマのかわいいやつなのか…
それ普通にほしいな…
そんでな、ある日そのキッズは大好きなみっっつやサイダーに野菜育成キットがオマケでついているのをスーパーで目にしたんじゃ
いいか、オマケが「野菜育成キット」だぞ
こんなこというのもなんだけど、まともじゃないだろ
いや発想としてはめっちゃ面白いけど、よくこの企画通ったよな
商品開発会議で「次のオマケは野菜にしようと思います」っていうんだよ
偉い人に2回くらい聞き返されたと思う
んで、1.5Lくらいの三ツ矢サイダーに植物の種と土と植木鉢が付いてくるんだぞ
24本入りのビールについてくるおつまみとかそういう感覚じゃないでしょ
軽く想像の上を飛び越えてきたよね
仮に野菜がすぐ育つ二十日大根だとしてもその名の通り食べるのに少なくとも20日かかるんだぞ
サイダーのお供に〜ってレベルじゃねぇだろ
あ、三ツ矢サイダーって言っちゃったわ
まあいいや
結局オマケっつーのはエサみたいなもんじゃん
買う人は本体よりオマケに興味を持って買うわけですから、そのおまけのインパクトが強くないといけないわけで
その一番のアピールポイントがかわいいキーホルダーでもペットボトルホルダーでもなく「野菜の種」なんだよ?
野菜の種がついてきたとして、普通購買意欲そそられますか?
そそられるんだな〜それが!!
めっちゃ魅力的だわ、種
魅力的ってか物珍しさ、だよね
野菜育てた〜〜〜い!って思って買ったわ
まんまとはめられたわ
悔しい
そんでな、家に帰って種蒔をしたんじゃ
ちっさいちっさい植木鉢に水を入れると膨らむ土を入れてな、数粒の種を土に埋めたんじゃ
この土すごいわ、すっげー膨らむの
ビスケットみたいな茶色の板に水を垂らすと瞬く間に普通の土に戻っていくんだよね
農業革命か?
それから数日後…
ちゃんと芽がでたぁぁぁあ!!!!!
ガチ嬉しい!!!
小学校の時に朝顔を育てたんですけど、周りと比べて自分のやつだけ成長が遅くてめっちゃ悲しい思いをしたんですよね
だからこの時ちゃんと育ってくれてすっげー嬉しかった!!
……のじゃ…
その後植物はすくすくと育っていき、サイダーについてきた小さな鉢植えでは限界があると思った件のキッズはプランターに植え替えをしたのじゃ
キッズはその時ふと疑問に思ったという
「これ、なんて野菜??」
そう、このキッズくん、「植物を育てる」ということにフォーカスを当てすぎたため「自分が今何を育てているのか」までは気にしていなかったのである
「わからんことはとりあえず聞け」がモットーなんで
”世界の理„ことママンに聞いてみました
「う〜ん、たぶん小松菜じゃない?」
それから毎日、晴れの日も雨の日も
小松菜育て〜小松菜育て〜と毎日の水やりを欠かさず行い
今家で小松菜育ててんだー!!と学校のみんなに自慢し
小松菜観察日記みたいなものまでつけ始めたそうな
時は流れ、小松菜は家庭菜園のプランターの割には大きく育ち、ついに収穫の日を迎えた…
初めて自分で育てた野菜、少し寂しい気もしますがそれをもってしても余りある「早く食べたい!!」欲
収穫の儀を行うべくベランダにルンルン向かっていた家の中でマンマと遭遇し
「今から小松菜採りに行くんだいっ!」っと高らかに宣言したところ、マザーはなんだかバツの悪い顔をします
そこであばばばにとって”自然界の法„であるマミーが発したひとこと、今でも忘れません
「それチンゲンサイだごめん」
おしまい